自分の役割演技の人生、本当の自分で生きていきたい
『役割演技』という言葉をご存知でしょうか?
英語だと「ロールプレイング」という表現で接客や営業の現場を想定しての訓練もこのような表現になるようですが、私がお話ししたいのは、自分が上司として人の上に立った時の『役割演技』のことです。
敢えて上司の自分が悪者になったり、組織へ影響力を強めたり弱めたりして、組織やメンバーの成長につなげるために演技をするということです。
上司という『役割』だからこそ、育成のために『演技』をするということです。
このような会社やメンバーに成長の影響を与えるための行動を20年はやってきました。
メンバーは必ず上司の背中や上司のお金の使い方などまでをよく観察しているものです。
そして、上司が甘えた行動をすることが1つでもあれば、その甘えだけは自分もOKと捉えて真似をするのです。だからこそ自分に甘い姿を見せてはいけないのです。
自分に甘い部分が多ければ、それを見た部下が「このあたりまではOKの範囲」と勝手に判断し、場合によっては横領まで進んでしまうこともあるのです。
私は実際そのようにして昨日まで同僚や上司だった人間が即日で会社を退職していくのを何度か見てきました。
だから、上の立場の人間は自分に厳しくしないといけないのです。
これが『役割演技』です。
『役割演技』はこのような厳しいことだけではなくてもいろいろな方法があります。
例えば、
◎自ら進んで掃除をする
⇒自分よりも他人のためになることが自然にできる精神を教えるためです。
◎業者に依頼すると費用がかかることもホームセンターで買ってきて自分で取り付ける
⇒金をかければ何でもできますが、工夫をすることや費用削減を教えるためです。
◎会社の費用を1円でも減らすために出張の宿泊費も日帰りにしたり少しでも安いプランにする
⇒会社の費用は全社員の財産でもあり真正な思いで使用することを教えるためです。
◎メンバーが顧客トラブルになっているときには最優先でそばに駆け寄る。
⇒メンバーが大変なときにこそ、上司も同僚も一緒になって支援することで乗り越えられることを教えるためです。
このような自分の行動がメンバーに大きく影響していくことに気づいてからは自分で一つ一つ考え、思いつくたびに行動していたのですが、これを繰り返していくと慣れていき自然にできるようになりました。
自分の背中の見せ方をスキルとして身に付けることができました。
しかし、このような正しいことを繰り返していると正直なところ疲れてくることもあります。
いくら背中を見せても見えていない幼いメンバーがいたり、自分に都合いいところだけ見えて、都合悪いところは見えない振りをするメンバーがいたりということもあります。
しかし、一番疲れを感じるのは自分に無理させているところなのでしょう。
自分の本心は放置して演じ続けている部分があるからなのでしょう。
そのように考えると自分の家庭だけはそのようなことがないようにしたいと思うのですが、残念ながらそのような家庭は作れませんでした。
今は配偶者に見せる演技や引き込もりの子供に見せる演技をし続けています。
自分はこのように社会で培ったスキルを使い、たどりついた今が『偽った自分で生きているのだな...』とつくづく情けなく、そして、どうしようもない自分に憤りを感じます。
幸い本音が話せる人がいるので、そこで救われています。
本当にありがたい存在で心から感謝しています。
本来、このような本音で話せる人が周りに多くいる環境を自分で作るべきだったのですが、私にはそれができませんでした。
自分の生き方をもう一度考え直さなければと思います。
ずっと『役割演技』を行ってきて、気がつけば他人に利用されてきた人生だったのかもしれません。
そのようになったのは自分に原因があるのだと思います。
自分の生き方をよく考えて、もう一度リセットして、本当の自分で生きていきたい。
そのように強く思います。