社内の不正は残された方が辛い
社内の不正が発覚して大変なことになるのは「横領」です。
「横領」というのは時々、銀行などの金融機関で時々ニュースになっているなあ~と思う程度だったのですが、私のサラリーマン生活の中でも何度かありました。
ニュースになるほどの高額ではありませんがわずかの金額です。
私が勤務していた職場は従業員が200~300名ほど在籍していましたので、自動販売機も3台ほど設置していました。
業者に交渉して、従業員のために通常よりも30円~50円ほど安く設定してもらっていました。自動販売機を設置すると販売個数に対して、手数料をいただけるのですが、安く設定していました。そして、手数料が毎月、銀行口座に振り込まれます。毎月15,000円程度です。
これは会社の会計とは関係なかったので、繁忙期で忙しいときには従業員へ飲み物やシェイクを買って配り、みんなに喜んでもらっていました。
いつも所属長が口座を管理していたのですが、人事異動で新たに異動してきた所属長はこの口座を管理してもらっていたのですが、繁忙期にある社員が「これまでと同じようにシェイクを買って配りたいので通帳を貸してもらえないですか?」と聞くと「通帳がない」とのことでこの日は諦めたのですが、翌日も聞くと「通帳とカードを家に忘れてきた」とのことでした。
そうしているうちに繁忙期は過ぎてまた数か月後に繁忙期がおとずれ、通帳とカードをお願いすると「なくしてしまったかもしれないので、探してみる」とのことでした。
その社員に相談があると呼ばれて話しを聞くと所属長が通帳をもらえないので、おかしいから所属長に私から言ってもらえないか?とのことでした。私が所属長の次の立場のような役割だったので、仕方なしに伝えたところ、「自宅にあるはずだから探して持ってくるよ」とのことでした。
その後、持ってきてもらうことはなく、その社員は絶対に怪しいからというのですが、入金されている金額は3~4万円程度なので、その程度のお金をとっても給料も私たちよりもらっているはずなので、本当になくして困っているだけではないかな?と思っていました。
その社員は銀行の本店に行って残高証明なり履歴なりの証明をもらってきたいとのことでしたが、もう少し待ってみよう、そして、毎週1回は催促することにしました。
そして、毎週月曜日に通帳だけでも、キャッシュカードだけでも、持ってきてほしいと2人でお願いしたり、私だけがお願いしたりしました。
そして、1ケ月が経過し、いよいよ行動に出ることにしました。
その銀行の近くの支店が閉店してしまったので、本店にいかないともらうこともできず、電車で2時間はかかるところにその社員は平日の休みに行き、口座の履歴をもらってきました。
その社員が会社に来たときに顔を見てすぐに、悪い結果だとわかりました。
そして、予約してあった会議室に行き、その明細を見せてもらいました。
ここ3ケ月で5~6回銀行からお金が引き出されていました。
1万円、2万円、1万円、5千円で計4回の引き出しがあり、残高は2千円程でした。
本当に頭が真っ白になりました。純粋な会社の金ではないものの、従業員が購入した自販機の手数料ですが、みんなのお金です。それを立場を利用して自分のものにしてしまっているということに憤りを感じました。それと同時にこれからどのようになるのだろう?会社はどのようにするのだろう?でも、金銭のことは厳しい結論を出すのではと思いました。
先がどのようになるか不安だったのですが、勇気を出して、所属長を呼び出しました。
そして、座ってもらい、銀行口座の明細を差し出しました。
私は所属長の顔も見れず、細々とした声で聞きました。
「これはどういうことか説明してもらえないでしょうか?」とすると
『本当に申し訳ない』と頭を深々と下げられました。
『自分で使ってしまった...』
私が「そんな数万円じゃないですか?、給料で十分間に合うじゃないですか?」
『...』 無言
私が「なんでですか? そんないずれは、ばれるとわかるじゃないですか?」
『本当に申し訳ない、自分がだらしないのが原因だから...』
『これから、部長のところへ報告に行ってくる。』そう言って部屋から出ていきました。
実は、この時以降、所属長と会うことはありませんでした。
その日の夕方に部長から電話があり、「所属長は今日付けで退職になったから、もう出勤はしません。役員も承認しているので、明日から私が行きます」とのことでした。
呆然としてしまいました。
自分が責任をかぶってでもやらせてくれる所属長だったので、尊敬もしてたし、人間的にも弱さも見せてくれる方だったので、本当に慕っていただので、ショックは大きかったです。
自殺とかするんじゃないかと心配でした。部長からは連絡しないように言われていましたが、電話をしても出ずに本当に心配でした。
毎日、毎日、部長の目を盗んで電話していました。
それから、1週間後にやっとつながり、無事でほっとして、これまで多くのお世話になったお礼を伝えました。
今回の件を指摘した私に「これからお前がその部署を引張っていくんだぞ!、お前なら絶対にできるから...」と言っていただき、私も複雑な思いでしたが本当に最後まで温かい言葉で配慮してもらい、涙が止まりませんでした。
そして、部長から毎日、毎日、指摘や問題を提示され、地獄のような日々が1ケ月続きました。部長は厳しい風土に変えなければ、再発するのではというつもりだったのですが、私たちは、ダメ出しの連続で、疲弊していきました。
「社員の中にはもう会社辞めようかな?」「私たちがやってきたことはそんなに間違っていたのかな?」と部長にやり方に言い出す社員もいました。
このまま崩壊するのではと思い、部長に相談しましたが、「そんなことだから、あんな事件が発生するんだ!」とひどい言われ方もしました。
それでも、このようなときこそ、みんなの心の支えにならないとと思いフォローをしまくりました。本当に辛い1ケ月でした。
そして、人員の再編が行われ、新たな所属長が異動し、私は正式に所属長の次の役職となり、安定した運営へと向かうことになりました。
ここから学んだのは、上長といえど言うべきことは言うことをしないと、このような事件につながるんだと本当に心に焼き付きました。
私はこれ以降、不正を防ぐのではなく、その前段階で対策を打つようにしました。今回の曖昧なお金も会社の雑収として経理処理するようにしました。そしてお金関係は全てこれまで以上に明確にするように経理担当者も毎月小さな改善でもし続けるようにしてこのようなことはなくなりました。