過去に落ちた会社に再チャレンジで転職できた話
昨日、嬉しかったことがありました。
以前の会社で一緒に働いていた派遣社員の20歳くらいの男の子の転職のエピソードです。
彼との出会いは昨年の5月です。
会社でWEBのシステムエンジニアを採用したくて、人材紹介会社の複数社にお願いしていましたが、ご存知のようにエンジニアは人材不足で採用はなかなか厳しい状況でした。どの企業も即戦力になる実務経験ありの人材を欲しがり、高待遇ではないと難しい状況でした。
そこで、若くて未経験でもシステムエンジニアを目指している可能性のある人材はいないかと相談すると未経験の希望者なら紹介予定派遣(社員登用前提の人材派遣のことです)という契約であれば初期費用も安く抑えられるとのことで、派遣してもらいました。
初めての顔合わせの時です。ちょっとしたことですが、部屋に入るときに真っ先に会釈したり、一緒に来ていた同じ派遣の人を優先してあげたりする気づかいが見えていたのは彼だけでした。営業マンよりも気づかいしていることが印象的でした。
実際に話しをしてみるとおとなしく消極的にも見えましたが、自信のなさも見えて、素直な印象でした。
そして、入社し、私が教育担当になり会社のビジネスの流れやシステムの仕組みを教えていきました。ある程度時間が経ち慣れてくるとプライドの高さや頑固な部分が見えてきました。わからないことを素直にわからないと聞けなかったがために納期を守れなかったりしはじめました。
この「わからないことを素直にわからないと聞くこと」は以外と恥ずかしいこととか自分がバカに思われるのではないかと聞かない人が多いですね。
ここを修正しなければと思い、本人と話しをしました。
納期がせまっているときは「自分が知っているか知らないかよりも納期に間に合わせるために周囲に聞いたり、間に合わなくなることを事前に相談すること」など話しました。本人は自分で全てやらなければいけないと思い込み、自分を追い込んでいたので、目を潤ませていました。
その後も理解はしているもののなかなか人に聞けず「今、聞いてみたら?」と背中を押してあげたりしました。その後も自分でできるからと頑固に仕事を進めることもあり、納期に間に合わなかったり、取引先との打合せでもわからないことを質問すべきことも言えなかったりと進まないことが何度もありました。
本当にシステムエンジニアを目指す気持ちがあるのかな?と疑問にも感じました。
そして、また、話しをしたりを繰り返していたのですが、あるときに「システムエンジニアを目指したいんだよね?」と聞いてみると「実は違うんです」と思いがけない回答がきました。
「え~っ?」と大きな声を出してしまいました。
そして話しを進めていくと、
「実はインテリア商品の通販をしている会社に入社したかったんです。」
「その会社の商品を買ったことがあり、素晴らしい商品を作る会社だったのでその会社に応募したんです。」
「でも、その会社は落ちてしまったんです。」
「インターネットゲームが好きなので、パソコンやインターネット関係の仕事がいいかな?と思って未経験のシステムエンジニアに登録しただけなんです。」
「自分はパソコンで絵やアニメを書いたりもしてて、デザイン的な仕事をやってみたいと思っていたんです。」
このような回答でした。
その会社にはいまだに未練がある様子だったので、応募の機会はもうないの?と聞くと
「中途入社も年2回定期的にやっているんです。」とのことでした。
1度応募すると2回目は2年以上経過しないと応募できないという会社もありますが、そのあたりも一緒にパソコンで確認してみると特に設定していないようでした。また、同業他社もあるようですが、独自性の強い商品を作っているのはその会社だけとのことでしたので、それならどう思われてもいいから、熱意が通じるまで、何度でもチャレンジしてみたらとすすめてみました。
私も20歳の頃に短大卒業して、学生の時に勤めていたアルバイト先にそのまま勤めて、とりあえずフリーターを半年やったことがあるのですが、生活は困らないのですが自分の成長やプラスになることはあまりなかったという経験がありました。この子にもそのような経験は必要ないから自分の道に関わる会社に勤めることだけでもしたらどうか。ということや本当に自分がやりたい仕事があるのに関係のない仕事をとりあえずやることは、自分の成長にもためにもならないから、せめてその会社の取引先とかに勤めるとか、自分のやりたいことに関わる仕事を経験することをすすめました。
会社としては、また1からシステムエンジニアを探さないといけないのですが、「まだ、可能性の大いにある彼の将来を考えてあげること」を優先してあげるべきと感じました。もう一方でシステムエンジニア希望ではない人材をこのまま勤めても将来、両者にとってWinWinにはならないと考えすすめました。
そして、本人も納得して、自分の希望する道を進むことを決めたようでした。
私は次のシステムエンジニアを探すために人材紹介会社にまた依頼しはじめました。
そして、彼も仕事をしながらもその会社に入社するための準備をはじめて秋の中途採用に向けて、今年の6月で会社を辞めました。
希望する会社に転職できると決まってもいないのに、自分を追い込む意味で退職を先にしたようです。彼は秋の募集に応募するために早めに辞めたようでした。
素晴らしい成長だと感じました。
私もこの会社を今年辞めてしまったので、その先はどのようになったかわからなかったのですが、昨日、久しぶりにこの会社のシステムエンジニアと2人で飲んだときに嬉しい情報を聞きました。
「つい先日、その派遣だった彼が居酒屋にいて、そこに偶然居合わせた社員に声をかけてきて、『自分は辞めたあとに希望していたインテリア会社に入社して、情報システムの担当でがんばっています』と声をかけてきたそうです。
その話を聞いて、本当に嬉しくなりました。
「あの未熟だった彼が夢を実現できたこと」、「一度落ちてあきらめていたが自分で動いて夢をつかんだこと」に本当に嬉しくて目が潤んでしまいました。
連絡先がわからないのですが、「本当におめでとう!」と伝えたいです。
居酒屋に一人で行くタイプでもなく、自分から声をかけるタイプではないのですが、これを実現したことに自信を持てたからの行動だと思います。
本人が希望していた「デザイン」の仕事ではないようですが、モチベーション高くシステムの仕事をやっているだろうと思います。いつかデザインの部署へ行けることを祈っています。
このようなことが本当に心から嬉しいです。
自分のこと以上に嬉しいですし、本当に人生を自分で切り開くきっかけを社会人経験者はもっともっと教えていかないといけないと思います。
私がブログをはじめたのもこのようなことをもっと多くの人に知ってほしいからです。
多くの迷っている人、がんばりたいのにがんばれないでいる人達にこのような背中をおしてくれる人生の先輩が一人でも増えることを心から望みます。