クレーム顧客を目の前で逮捕/その1
私が通信販売のコールセンターでもっとも壮絶なクレーム対応の体験についてお話しさせていただきます。
それは顧客を会社の目の前で警察に逮捕してもらうという事件です。
通販のコールセンターなのでクレームの電話はよくありました。
その中で頻繁に電話してくる40代の男性がいました。
用事らしい用事もなく、暇つぶしのような電話でオペレーターと楽しく話したいだけだとすぐに理解できました。そして、様子をみているとその顧客は冗談を言っても笑わないオペレーターに「対応が悪い!」とクレームを言ってくるようになりはじめました。
そして、私が対応するようにしていたのですが、元々は女性のオペレーターと話したいので私には電話をつながらないようにと事前に言ってからオペレーターと話しするなどの行為を行っていました。
そしてまた、気にいらないオペレーターに当たると「対応が悪い!」とクレームを言うようになりました。
そして、ひどい時には、1日に100回以上電話をしてきて、一般の人では言わない「シャブ漬けにしてやる!」「このやろうぶっ殺すぞ!」「そこにこれから行くぞ!」などという電話が頻繁に続いていました。
私が対応しようとしますが、暴言を言ってすぐに電話を切るという状況なのでなかなか話すことができません。そして、オペレーターも恐がるようになっていきます。
そして、ついに会社にやってきたのです。
風貌は少し強面の髪型をしているのですが、話し方は活舌が悪く、人柄は良さそうなのですが、がんばって悪い人間を演じてるようにも見えました。チンピラ崩れという感じでした。
そして、会社入れるとオペレーターも恐がるので、近所のファミリーレストランで話し合ったのですが、「オペレーターの対応が悪いこと」を言われましたがこちらも何度も電話をされたり、暴言を言われていることについて「やめてほしい」ことも伝えました。
しかし、「自分は商品を購入する前の問合せをしているだけでその対応が悪いからクレームになる」との主張でした。
30分ほど話し、平行線のままでその日は終わりました。
しかし、数日経過するとまた、電話をしてきました。
そして、同じように何度も暴言の電話を繰返していました。
そこで、今度はこちらからその顧客宅へ訪問してもう一度話してみようと思い、突然、訪問しました。
するとそこでも、同じように「オペレーターの対応が悪い!」とのことで平行線のままでした。
突然の訪問に迷惑そうでしたが、これも牽制になっていることはわかりました。
そして、「また、同じようにされるのなら自宅に来て話します!」と言って帰りました。
その後も相変わらず暴言を言い続けたり、アダルトビデオの音声をながしたりと異常な行動が続き、平日の昼に会社の近くのファミレスに現れ、各テーブルを周りながら「あなたたちは〇〇会社の人か?」と女性のテーブルを聞いて回ったりと異常な行動が続きました。
想定外の異常な行動をとるので、警察に相談に行きました。
警察の刑事さんは親身になってくれ、とにかく異常行動を紙と音声の記録をしてくださいとのことでこれまでの行動を洗い出し、翌日以降の記録をとっていきました。
「〇月〇日〇時〇分~〇分間 〇〇~と言って電話を切った」とのことで、これを徹底していきました。
土日祝も営業しているので、これを毎日、半年以上行っていきました。
その中で驚くような異常行動がありました。
◎本社の社長の自宅の住所をどこで調べたのか読み上げたり
◎電話に出たオペレーターの姓名を聞き出し、そのオペレーターの住所を読み上げ、行くぞ!と言ったり
◎私と一緒に対応していた男性社員の車の車種を言ってきたり
◎2ちゃんねるにひどい対応だと私の名前を書き込まれたり
◎知らない人間から私宛に電話があり、闇金の取り立てのような輩から捲し立てられたり
◎今日は電話がないと思っていると突然、会社の最寄駅で主婦の人に声をかけ「あなたたちは〇〇会社の人か?」と聞いたり
このような異常行動です。
異常行動がエスカレートしていき、営業時間も夜の21時までだったので、普通のビルのオフィスでしたが入り口前に警備会社の方にも常駐してもらいました。
そして、記録が集まり、逮捕状までとれそうな状況になったのですがそのためには被害者が必要でした。被害者になるとこの男に自宅住所も伝わってしまうのです。
男には暴言を吐かないので私は被害者になれませんでした。
それでも「協力します!」と言ってくれた女子社員が申し出てくれました。
本当に彼女には感謝しました。逮捕後に検察にも足を運んでくれました。
そして、いよいよ逮捕状が出て警察が本人の自宅に踏み入ったのですが、なんと引越していて逮捕することができませんでした。
そこから、なかなか居場所が見つからなかったのですが相変わらず電話は入っていました。
そして、ある日曜日に会社から電話があり、「今、向いのファミリーレストランにいる」とこの男から連絡があったとのことでした。
家族と買い物帰りだったので、そのままファミリーレストランに行ってみるとその顧客がいるのが見えたのです。
「やっと逮捕のチャンス!」と思い、家族は車で帰らせ、警察に電話して「サイレン鳴らさないで来てください」と伝えたのです。
警察が到着したときには、会社の前に軽自動車をとめクラクションを鳴らし続けていました。
そして、会社の目の前で逮捕してもらったのです。
ここまで1年以上かかりましたが本当に心からほっとしました。
「女性社員やオペレーターに何かあったらどうしよう?」という不安がもっとも心配だったのですが、それもなく逮捕までいけたことが何よりも良かったとつくづく思いました。
20日程度の拘留だけで罰金刑となり、すぐに出ることになってしまい警戒していましたが、その後に電話がかかってくることもありませんでした。
やっと解決したと思っていたのですが、
それから半年後に今度は本社に入電があったのです。
本社のお客様相談室に何度も電話があり、私のコールセンターの対応が悪いというものでした。
そして、今度は本社の対応になるのですが、想像以上のとんでもないことになるのです。
この続きはまた、明日のブログに続きます。