人間は「他人の不幸は蜜の味」と思う生きもの
「他人の不幸は蜜の味」という言葉をご存知でしょうか?
言葉の通り、人間という生きものは、他人が不幸にあうと残念ながらそれを喜ぶ感情を持っているということです。
自分の心に正直に向き合ってみるとそのような感情を抱いたことはほとんどの方があるのではないでしょうか?
子供時代の他人に残酷なことをしてしまうのもこの感情かもしれません。
また、車で走っていて、事故を見かけたときにも同じかもしれません。
人間も動物も子孫を残すために異性を奪いあったり、食べ物を奪いあってきているので、例えば他人が減るということは自分が食料にありつける量が増えることにつながるという深層心理のようなものを持っているらしいのです。
人間というのは本来、そのような生きものなのでしょうね。
だから、いじめもなくならないのかもしれません。
私はそれでもこのような「他人の不幸は蜜の味」の感情が出てくる自分を「汚い人間」と思い、悩んだこともあります。
そして、いろいろ調べたり本を読んでもどこにも回答が見つかりませんでした。
しかし、やっと見つかったのは実は仕事で他人に感謝することからなのです。
自分が会社から提示されている目標に自分の部署だけが達成することができず苦しんでいるときに、その私の状況を察してくれた社員やアルバイトのメンバーが「苦しんでいることを教えてください。自分達はがんばるから...」と言って、正直に全員に話してみたことがあるのです。するとその日から、驚くほどがんばってくれてその目標を達成することができたのです。
本当に涙が止まらないほど嬉しかったことは今でも脳裏にしっかり残っています。
そして、みんなに心からの感謝を伝えました。
実はこのときの目標達成以降、全国で常に1位、2位を争う実力がずっと続く部署になったのです。私から他の部門長に変わっても落ちることはありませんでした。
一人一人の心(意志)で上げた実績なので底力が上がることに繋がったのです。
このときの心からの感謝の気持ちが、いまだに私の心に刺さり続けています。
そして、このような経験が「他人の不幸は蜜の味」の感情を出なくしてくれたのです。
それ以降、大変な状況になったときには部署のメンバーに正直に伝えるようにしました。すると本当にいろいろな業績もうまくいくのです。
そして、私はメンバーに心から感謝し、それと同時にメンバーのためにがんばろうと力が湧いてくるのです。
このかけがえのないメンバーのために、メンバーが喜んでくれるために何かできないかと心から自然に思え実行するのです。
そして、自分は他人が喜んでくれることが、本当に心から嬉しいと感じるようになっていきました。
私がサラリーマンを続けてきて、気づけた最大の自分の宝物はこの思いです。
このように他人に自分の心を伝え、助けられた経験を重ねることで、正しい生き方までも教えてくれたのです。
最初の経験から、転勤し転職もして、もう10年以上経過しましたがその時の人達の顔もいまだにしっかり覚えています。
自分が辛いときにもこの成功体験が私の大きな支えになり、絶対乗り越えられると信じれるようになりました。
よく『リーダーは孤独』などと言われますが、私はこれに気づいてからリーダーの立場でも孤独を感じたことはありません。このように一緒に応援してくれる仲間がいると思えるからです。
世の中の経営者や部署のリーダーの立場のみなさんは、このような素直な気持ちでマネジメントすればよいだけなのに虚勢を張るからうまくいかなくなるのです。部下やメンバーはお見通しなのです。
人というのは、自分の人生で心を正しく磨き続けることが生きている使命なのではないかとさえ思います。
そうはいっても私はまだまだ自分に甘い人間と感じることが多々あります。
ですから、まだまだ心を磨き続けなければいけないのです。
これからどのような苦しいことがあっても、この経験を信じて磨き続け、仲間と乗り越えていきます。
「他人の不幸は蜜の味」は自分を守るために、自分を優位に立つためにというこのような感情と一緒です。
この考えがなくなり、
「他人の不幸を喜ばない社会になれれば、いじめもハラスメントもなくなり、戦争もなくなる世界になるのではないかと思います」