失敗を個人の責任にする企業は要注意!(私の転職理由)
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ペーパーレス化はみなさんの会社では進んでいますか?
ゴミの焼却時の二酸化炭素排出や森林伐採により地球温暖化が進んでいますが、いまだに紙でなければいけない書類も法律でゼロにすることは難しい現状もありますよね。
これからお話しすることは私が勤務した会社で起きたことなのですが、30枚ほどの契約書類を紛失したことにより、その社員の周囲が一気に敵にまわるという恐ろしい光景を目にしたことです。
契約書類紛失
私が転職したばかりでの部署にはリーダー職の社員とその部下に6名の社員がおり、その下は30名程のパート職員が在籍している部署でした。
このリーダーがある社員にパートの契約書を記入と押印と回収を依頼していたのですが、人事から契約書の回収の催促がありました。
そして、その社員に確認したところ
「いつも置いている場所にその契約書がない!」
「この書類は重要と認識しているので、ここに保管していたはず...」
ということでその社員がどこを探しても見つかりませんでした。
私はその本人の様子を見ていて、保管場所に確信があることと書類の重要性はしっかり認識しているので他の人が持っていったのではないかと思ったのですが、他の社員も全く認識していない状況でした。
すると、そのリーダーはすぐに人事の担当者と話したところ、
「これはあってはならないことなので社長に報告します」とのことでした。
何かしらの処分をするかのような状況でした。
しかし、その日はたまたま社長が不在だったので、伝わるのは翌日になりました。
そして、その直後からその紛失した社員に対する態度が一変したのです。
その人事の担当者とリーダーは露骨にその社員に対して、厳しい視線や態度をとるようになりました。
これは明らかなハラスメント行為です。
本人はその厳しい視線に必死に耐えていました。
自分を守るために人の過ちを攻撃することができる社風
普通の会社なら、その仕事を依頼したリーダーと紛失した社員が処分の対象になるのですが、この会社は紛失した個人を全ての責任にする会社だったのです。
そして、このリーダーがその責任から逃げようとしていることは見えていたのですが、人事の担当者まで個人に責任を持っていくことが当然のように進めているようでした。本当に未熟な考え方をしている会社なんだと愕然としました。
この会社は一つの失敗でレッテルを貼られて、居心地悪くなり悪いことは個人の責任、良いことはリーダーの責任の会社であることもこの件で見えてきました。
私はこの会社に組織の考え方や失敗の考え方を教えていかなければ誰もがチャレンジしない会社になっていくと将来に不安を感じました。
私は自分がこの部署のリーダーならこの社員と一緒に顛末の報告を社長にするのですが、それができる立場ではなかったので紛失した社員を助けてあげられる方法を本人に提案しました。
「今、辛いと思うけど、このようなことは先手が大事だから、始末書を書いて自分で社長に持っていきお詫びしたらどうか?」
本人が迷っていたので、始末書の見本を作成してあげて本人に送りました。
そして、本人が翌日に社長のところに直接、始末書を持って説明と謝罪にいきました。
社長は既に人事の担当者から報告は聞いていた後だったのですが、その後に私も呼ばれ話があったのですが、
「人事担当者もその部署のリーダーも大袈裟にしているけど、本人は始末書も自ら持ってきてるし、そこまで処分する必要はないと考えているけど、どう思う?」
と聞かれました。
「私も確かに大切な書類と認識していますが、会社として控えがないのは何かあったときに問題なので、パート職員のみなさんから回収してそのコピーを保存するか、データの書類もあるのでその保管で問題ないと思います」
と提案しました。
そして、結局、この件は何の処分もなしにて収束しました。
しかし、その後もこの社員への人事担当者とリーダーからの厳しい視線は続きました。
自分を守るために、責任を持たないために、人の過ちを攻撃することができる社風には本当に驚きました。
責任をとらない社風の原因
この社員はその後、私の部下となりましたが同じような書類を担当させたりしましたが、しっかり施錠した場所に保管して提出も早めにしてくれました。
このように一切問題なく対応できるのです。
なぜ、この会社が組織があるのに責任は個人なのかを考えてみたのですが、1年程、勤務していてやっと判明しました。
☑ 経営者には珍しく、失敗をすることを嫌うこと
☑ 元々は人材派遣から社員登用が多く、責任を持たない仕事を好んでいること
☑ いろいろなトラブルや失敗が発生しても弁護士や金銭で解決し対応経験少ない、またノウハウがない
☑ 組織の長が連絡係になっていること
☑ 仕事を責任のない作業に変えてしまう
このような実態がありました。
みなさんの会社でこのような1~5に当てはまる場合にはその会社は注意が必要です。
まとめ
会社がなぜ、組織化するのかというと人が一人で行うよりも数名でも集まって行うことにより、そこに創意工夫が生まれ結果的に生産性も品質も上げることができるからです。それが理解できていない会社は仕事と責任の持たせ方が間違っているのです。
仕事における三面等価の原則というものがあります。
権限・責任・責務(報告義務)が等しくなければいけないということです。
権限はないけど責任だけ重い会社などとよく聞くと思いますが、責任を持たせるなら権限も責務も同等にもたせる必要があるということです。
ここのバランスをとらなければ正しいマネジメントはできないのです。
ちなみに今回紹介した会社では権限は経営者で責任と責務だけは与えられていたので、転職しました。
残念ながら独裁の中小企業は株主からも厳しい目で見られることがないため、このような考えは不要なのだと思います。