サラリーマンは一つ上の立場で考えることが成長につながります。
仕事をする上で「自分の一つ上の立場で考える」ことについて、お話ししたいと思います。
「上司は部下を選べない、部下も上司を選べない」という言葉があるのはご存知でしょうか。
ほとんどの会社が階層になっており、平社員の上は主任⇒課長⇒部長等々の序列があると思います。管理職の大半が中間管理職です。
そして、人事権は経営層にしかなく上位職でも人事の提案はできても決定権はないことが一般的です。
この現実を考慮すると多くの中間管理職は自分の意志で部署の社員を決めることはできません。上司は部下を選べないのです。
平社員から見たら選んでいるように見えるのですが、人事権は会社の中でも非常に重要な権限で役員以上が一般的ですが、会社によっては社長と人事部長のみということもあります。それだけ重要なのです。
当然、部下も上司を選ぶことはできません。
結局はお互いに選ぶことはできない訳ですから、それなら互いに好き嫌いを言わず協力して担当部署のために互いに協力するしかないのです。
客船が事故になり、たまたま無人島に漂着した人達で生きていくしかないのと一緒です。
上司も部下も好き嫌いを言わず人間同士として互いの長所を認め、短所を補える関係をつくるべきなのです。
そのためには
上司は去勢を張らずに、苦手なことも真摯に認め部下と人として対等になるべきです。
部下も上司を育てるのも自分達の役割と考えたり、自分が上司の立場ならどのような判断をするかまで深く考えて、対等に意見交換できるようになるべきです。
そうは言っても若い頃は上司の不満を酒を飲みながら同僚と愚痴ったりしていました。
しかし、愚痴を言ってても何も発展することにもならない上、同僚と共感しても何の解決にもならないことに気づいたことがありました。
そして、その愚痴の理由は上司が頼りなかったことですが、その上司の苦手な部分を批判するのではなく、その事実を受け入れて自分達に何ができるかを考えるようになりました。
その上司は提案しても「部長に提案を上げて検討している」とは言うもののそのまま放置されていることが多く、恐らく却下されていて、その事実を私たちに言えなかったのだと推測がつきました。
そこで同僚と共に上司の弱い部分は理解してあげて、その上で提案も通すためにも上司の立場に心から立ってみた気持ちで考えてみることにしました。
するとお酒の席でも楽しい時間になり、時々愚痴は出るものの建設的な話しで盛り上がる飲み会になりました。
そして、その食事中に自分が上司だったらが、具体的にどのように進めていくかの話しまで発展していきました。
「この部署をどう発展させていきたいか?」
「この部署の人員不足はどのようにして確保をすべきか?」
「全従業員ががんばろうという気持ちになったらどんな部署になるか?」
「そのためには何をするべきか?」
等などワクワクしながら意見を出しあったりしました。
このような建設的な意見は楽しかったのですが、 もう一方で上司の立場の重さも実感するようになりました。
「どのようにするべきかの意見は言えますが、それを実際に進めるとなると私たちも本当にできるのか?
進めてみて失敗したらどうしよう?」
このような不安が出てきました。
その上司も同じ不安なんだろうとはじめてその立場の重さを痛感しました。
所詮は私たちも責任のないところで言っているだけの評論家なんだとも気づかされ自分達の未熟さを痛感しました。
本当に人の立場になっているつもりでもなれていないんだと思いました。
しかし、このように話し合ったことで、上司の苦しみや会社から見た自分の部署の置かれている立場も理解できました。その上でできることを提案するようにしました。
これまでの提案はいかに自分の部署しか考えていない視野の狭い提案だったのかとも気づかされました。
そのように上司への提案を変えただけで、承認をもらえるようになりました。
それから、私は常に「自分の一つ上の立場で考える」ようになりました。それが自分の成長に大きくつなげてくれたと実感しています。
このような「自分の一つ上の立場で考える」ことを実践していくと人事で昇格しても、普段からその立場で仕事をしているので不安も軽減されてスムーズに対応できます。
また、一つ上の立場で考えていることは社内の説得力にもつながり、自分の意見もよりしっかりしたものに腹に落ちます。本当に良いことづくしです。
是非、実践してみることをおすすめします。
この「自分の一つ上の立場で考える」ことで唯一失敗したことが一つだけあります。
それは中小企業に勤めていたときに自分の一つ上は経営者の社長でした。社長の立場で考えていたので、部下の成長を喜ばない経営者や自分を超えられることを怖がる経営者だと対等な意見は嫌われることにつながります。
残念ながら経営者の中では普段から「自分を超える人間力をもった人になってほしい」などと口にしても、実際にそのようになると自分の立場が不安になり、成長を喜べない方も残念ながらいます。
いくら創業した経営者で苦労していて長年、自分の位置にあぐらをかいてしまっている場合は社員の成長は自分の不安にしかならないのです。
私はそれで会社を辞め転職しました。弱い経営者にはご注意ください。